Viva La Silva梶浦雅裕さんに聞く
【トークイベント】梶浦雅裕さんに聞く (聞き手ルミックス芝崎)
2014年10月11日(土)福岡Viva La Silvaにて
2014年、福岡での秋冬着物展示会の会期中に、会場を提供してくださったViva La Silvaの店主であり、ミュージシャンの梶浦雅裕さんにお話を伺いました。
梶浦さんは、この会が初対面の私たちに、とても大事なことを話してくださいました。
小雨の中、良いお客様に囲まれてとても感動的なトークイベントとなりました。

ル:梶浦さん、それじゃあ真ん中で、・・・ありがとうございます。ツーショット自体が奇跡的な..
金:信じられない!
ル:「ロック」と我々が語ってしまうには、製作物が着物なので、ロック的なとこがあるかというと、どうなんでしょう、着物界としてはあるんですけれど、一般社会としてはちょっと微妙な感じで、(笑)すみません! 梶浦さんのご紹介は、ジュエリー作家、でよろしいんでしょうか。
梶:まあ、今はそうですね、作家というつもりはないんですけれど、今までずっと音楽で仕事をしてきたので、
梶:なんか、その、昔はドラムを叩くということで表現してきたんですけれど、今回は自分の今まで見てきたものとかいうのを、カタチにする上では一緒なのかなと思って、そういう意味では楽しくやっています。
ル:じゃあそこに凝縮されている・・・意味合いとか・・・
梶:うん。作家、アーティストでどうのこうのという意識は全くないんですけれど、自分で思いついたものとか、人から「こういうものを作って欲しい」と言われたものを、探っていく中で、そういうものはどうなのかなっていう感じで模索はしますけれど。
ル:そうなんですか、じゃあ工房を構えられたのが・・・
梶:そうですね、今年の2月22日に、ここで。そこまでは間借りというか、そういうことを教えてくださったところで一緒にやっていたんですけれど、独立したのが、今年の2月22日です。
ル:デザイン設計もすごく素敵で、素材感が端的に表現されていて、細かい仕様が素敵だなと思ったんですけれども、こういうこともデザインで・・・
梶:いや、もうここでやる時は何も決めてなくて、ここで俺は自分のマークにリボンを使っていて、モチーフでよくリボンを使うので、リボン型のカウンターを作って欲しいと、それだけしか頭になかったんですよ。で、色とかコンセプトは全く決めずに、まずこれを作りながら、これがね、この茶色の棚が・・・ここをやってくださった内装の人が、先にこれを付けたんですよ。これが付いたんで、これに合わせていっただけなんですよ、全部、色とか。
ル:あ、そうなんですか!
梶:まあ、珈琲とかも出そうかなと思っていたので、ちょっと茶色っぽいイメージで・・・
ル:こちらもガラスで作業風景が見られるようになっていて・・・すごくコンパクトな、工房としては・・・
梶:いや、見れるんじゃないんですよ・・・
ル:見てはいかんのですか?
梶:見てはいけないわけじゃないですが(笑)見れるようにしたわけじゃなくて、ここで籠ってやっているとお客さんが来たのがわからないので、ここから、来たのがわかるように・・・
ル:すごい考えられていて・・・素敵ですよね、本当にここでこうやって見られるのが・・・
客:DJブースかと思った!
ル:そのイメージもね、お客様はうれしいですよね・・・あの、カタチなんですけれども、私が言うのもあれなんですけれども、愛情、っていうとあれですけれど、きわのアールがすごく手間がかかるというか・・・かわいらしく出来て・・・
梶:ああ、そうなんですよ。これを作るテーマとして、ロックっぽいものってすごく偏って・・・スカルとか、クロスとか、
ル:そうですね、
梶:そういう、すごく固定概念があるから、それで、俺は自分でもあまりしなかったんですよね、なんか、あまりにもロックっぽくなる。といってそっち側じゃない方にいくと、ティファニーみたいに、本当にかわいらしいものしかないから、なんかかわいらしいんだけれど、一瞬キラッと光るものがあるみたいなところが狙えないかなと思って、ロックっぽいんだけど、ちょっとかわいらしい、女性の人もできるようなイメージというのをテーマに作っています。
ル:重さとかについても、多分、ずいぶん調整されているのかなと思って・・・
梶:(笑)いや、そこまで考えてない・・・
ル:このボリューム感とかもかわいらしい・・・
梶:まあ、作ったものがそういう重さになっているというだけですね。そんなに・・・うん、でもまあ、ゴージャス感というのは要ると思うので・・・まあ臨機応変に作っています。
ル:そうですか。なんかその、愛情っていうかカタチの丸みがすごく・・・他のだと厚みをグンと出してカタチをこう、グラフィック的に表現するんですけど、このカーブとかの立体感がすごく・・・
梶:今はもう3Dプリンタとかあって、こういうものも写真を撮れば同じものが出来てくる時代だから、なるべく手で作って、温かさみたいなものは伝えられたらなとは思いますよね。
ル:そうですね。その辺のことが、私たちの染色の方なんて、ものすごく速く出来るようになってきていて・・・
梶:そうでしょうね。
ル:日本よりも韓国なんか行くと、もうともかく目に入るものはコピーして柄にしてプリントして物として出すということで、そこにコンテンツを込めるっていうことはあまりないんですね。
梶:うん。
ル:国によってその、自社のイメージをカタチにして出すのか、商業としてそれを量産何枚、だから一月に何柄作らなきゃいけないっていうノルマがあって、それで割って仕事していくみたいな、二つがあると思うんですけれど、やっぱり例えばイギリスみたいなところだと、ちゃんと意味を持たせたものをどうやって流布させるかという中に、制作工程というのがあって、そういう方がいいじゃないですか、自分たちで何を作るかっていうのを決めて、それを手仕事なのか何か・・・
梶:そうですね。もう世の中これだけ便利になって何でも出来る時代だから、そういうことが価値観になっていく。
ル:価値観ですね。
梶:というか、そこしか生き残っていく道はないと思うんですよね。だから飲食店でもなんでも、結局ある程度美味しいのは当たり前で、そこから後はもう人との付き合いになるというか。多分、人に返ってくると思うので、そこの辺を真剣に人と摩擦しながらやっていく人のほうが残っていくような気はしますけどね。
ル:昨日、夢に出たんですけれども、ビバラシルバのブランドロゴの、ドクロのカタチとか、このリボンのちょっとかわいい感じとか、最初からですか?ブランドを作る上で・・・徐々に完成されたのですか?
梶:いや、そうですね、これが最初に・・・俺は全く作ったことがなかったので、その方にオーダーしたんですよ。ハートにリボンが絡まっているようなものを作って欲しいと。で、それを最初に自分がつくったんですよ。工房を一か月くらい貸してもらって、で、それが最初の一発目の作品だったから、どうしても、何かにリボンがかかっているっていうイメージがずっと自分の中にあったので、それを何となく傾倒して作っていったらこういう風になったんですけれどね。
ル:真正面のドクロが多い中、ちょっと横を向いていて、風がなびいている感じ・・・
梶:うーん、ちょっと漫画チックではあると思います。リアルなものよりも・・・ちょっとアメカジとかも好きなので。
ル:怖くないっていうか。
梶:ああ、そうですね。そうかもしれないですね。
ル:ポップな感じというかね、それがすごく大事にしている感じがよく出ていて。まあちょっとこっちも(金子へうながす)反省したよね、自分ちのロゴも大事にしようって。
金:あんまりね、成り行きで・・・(笑)
ル:私たちは商業的な仕事が多くて、(彼は)工場に勤めて12年、私の方は図案を人のデザインを扱う仕事がほとんどだったんですね。それで、まあちょっと同じかどうかわからないですけれど、スタジオミュージシャン的な商業的な仕事をずっとやってきて・・・
梶:ああ、いろんな人のニーズに対応する・・・
ル:そうですね、はい。それで、ああもう、ちょっと違うといってやっていたことが、段々遊びの量が増えてきてルミロックになっていったみたいな感じなんですね。やっぱり注文なんですね、うちは。
梶:俺は割と逆ですね。こういうものばっかり作っていこうと思っていたんですけれど、やっぱりオーダー物で頼まれるのは、自分家の飼い猫の写真持って来られて、これでペンダントを作ってくださいとか、そういうことが多いので、逆にそっちを勉強するというか、意外とそういうのが多いんですよ。
ル:ああ、そうですか。
梶:だから何でも対応しなきゃいけないなっていう風な意識ではいるんですけれど。
ル:でもここで作ってもらった方が楽しいですよね。
客:おあつらえだよね。
ル:なんと贅沢な。
客:猫の指輪とか。
ル:バンド時代ってあれですけれど、東京から梶浦さんのアトリエで開催することについて、「えっ、何でルミロック行けるの?」って言われてですね、非常にみんなから「ええ、いいなあ」って言われてですね、大変な感じになっているんですけれど(笑)
梶:ここでやることについてですか?
ル:そうですよ、もう大変なことになって・・・
梶:ああ、そうですか。
ル:ちょっと怒られたりなんかしていてですね、一応ご縁だからということで勘弁してもらってます。
梶浦さんは、商業的にずっと仕事をしてこられたわけじゃないですか。今でもライブを・・・
梶:そうですね。多分、アクセサリーだけを作っていても大して売れないだろうし、知ってももらえないと思うんです。クリエイティブなことをやっていないと、動いていないと多分、人があんまり見てくれないのかなという・・・いろんなところにいろんなものがあるわけで、さっき言ったように人が出掛けたりなんかしながら、何かが生まれないと、多分これから、すごくダメな時代になると思うんですよね。
ル:ああ。
梶:多分、Amazonとかでみんなジャージを着て、同じものを買い物出来るじゃないですか。で、俺たちの時代ってやっぱりレコード屋に行くのに前の日から眠れずにいたりとか、明日は何着て行こうかなっていう、そこまで考えるのが買い物だったから、そこで、その場所に出向いた時に、喧嘩したりとか、すごい知識人のおじさんに出会ったりとか、そういうことをして、いろんな物語が生まれていくというか。そういうことがもう一回、一般的に来ないかなと、俺は思っているんですよ。だから、多分、楽なんでしょうけれど、楽じゃない買い物をしていかなきゃなっていうとこなんで、何を言おうとしたのか忘れましたけど・・・
ル:なるほどですね、たとえば、用途で買うか、心のために買うかですよね。
梶:うん。
ル:で、用途の方は、値段でソートされるわけです。
梶:ああ、でしょうね。
ル:最安値・・・(笑)わかりやすいブランドになればなるほど、安値で並んじゃうわけですね。現物を見にデパートに行って、ふーんって、その帰りに検索して、そっちで買う、みたいなことが起きるわけですね。だから、ソートされないモノづくり、みたいな、ことを考えないと。そうはいっても、よくわからないモノを作って現実化させるっていうのはすごくロスがあるというか、仕事にならないというか、予定が組めない部分があって、しかしそれを企業に売らなければいけないという、しんどい部分があるんですよね。その戦いが、日夜あるんですけれど(笑)
金:見えないところで、帳尻を合わせているんです。
ル:クリエイティビティを込めるタイプの方でも、「今回は、(満足するクオリティに)出来ている!」という感覚があると思うんですけれど、それを最初から設定して作るっていうのってすごく難しいじゃないですか。「これはクリエイティビティだ、これはどうかな?」っていう線引きとか、なんでしょうね、チームでつくりあげるものって、チームを組んだ時点で、大体出来上がっているものなんですか、音楽の方っていかがなのでしょう?
梶:だから結局、俺もまだ発展途上というか勉強している段階なので、その辺の素晴らしいずっと歴史を持っている人たちと比べられてもヤバイんですよ、俺の場合はね。だから結局俺がやっていることとか、今まで培ってきた音楽をプラス、一緒にしてもらって価値観を持ってもらうしかないと思っているんですね。だからライブをして、やっぱりそこは自分も自信を持ってやっていますんで、ライブを見てもらって、ドラミングとかバンド、プロデュースしたものを見てもらって、その感動をこれに注ぎ込んでもらって、じゃあ買おうかなっていう。だから指輪を持っていると俺のライブしている感じが思い出せるというか、そういう、・・・洗脳ですかね。(笑)
ル:着物仲間も、元バンドとか、音楽系の思考の人、割と私たちの周りにはいるんですよね。
客:私もやってました。
客:バンドブーム時代だからですかね。
ル:イカ天的な・・・
客:ああー。イカ天。わかる。
ル:私も、打ち込みしてもらってカラオケ的なバンドのユニットだったんですよ。
客:へえー。
ル:イカ天系ですから(笑)たま、みたいな、不思議系・・・
客:たま!(笑)
ル:(笑)だから、ちょっとオタク系っていうか、こういうワイルドにちゃんと人間性をぶつけだして、ぎゅっとしたバンドの人に憧れてるんですよ。
客:(笑)
ル:憧れて、いいなあっていう、そういう・・・今では見に行くだけなんですけれども、金子さん、なんか新潟から出て来て、音楽どうですか?
客:(笑)そっからなんだ
金:いや、あのー、歌の活動の時って、ライブに向けてガッと出すと思うんですけれど、制作している時はガッと出すというよりは地道にトントントントンとやっていると思うんですけれど・・・
梶:どっちもそうなんですけれど、集中するまで、ですよね。集中したらもう抜けられないくらい集中するんですけれど、そこに入っていくまでの、・・・もう一瞬にして入る時と、もういつまで経っても入れない時と、あるんですよね。まあそこは人間がやることだからどうしようもない時は、もうあんまり根を詰めないで待つ、というか、ハマるのを待っていますね。ライブは昔はいろんなことを組み立ててやっていたけれど、今は固定メンバーもいないし、その時々に「この人面白いな」と思った人を声掛けて集めて、そこで何が生れるかを実験的にやっているだけなので、プロもアマチュアも含めて「この人面白いな」と思ったら、あまりリハもせずにライブの時でお互いに勝負するっていうか・・・もう一晩で消えるバンドなんで、ワンナイツというのは。それでワンナイツって言うんですよ。
客:なるほどね。
ル:すみません、今度来ましょう。
梶:だから、ご存知かどうか知らないですけれど、ミッシェル・ガン・エレファントの千葉君とか、石橋凌さんとか、そういう人たちと、あんまりリハも重ねずに、決めごとをなくして、どう転ぶか分らない状態で、ほぼ一日、やるかやらないかです、リハを。
ル:へえー。
梶:昔、ミュージシャンってそうだったんですよね、とてもじゃないけど出来ないことを出来る人たちの集団だったから、今みたいに身近に誰でもギターを弾けたりとかいう時代じゃなかったので、ものすごくプロフェッショナルな人が多かったので、その辺で、一瞬にして勝負する緊張感みたいなのが、お客さんもぐっとくるんじゃないかなっていう。それこそ生の醍醐味というか。ミュージシャンも多分、生で演奏出来る人だけが今から残っていくでしょうし・・・
ル:そうですか。
梶:職人ですよ。だから着物にしてもそうでしょう?結局。伝統というか、あんまりにも伝統だけを意識するからどうしても廃れていくというか・・・
ル:はい。そうです。
金:着物業界に届けたいよね。
ル:そういうことです。そうです。
梶:日本的だとか、そういうことばかりを固執していると、多分こういうことになると思うんですね。だから新しいものとコラボして、いかに素晴らしいものを作るかという。
ル:涙が出そうです。
梶:今の時代のニーズに、こう教えていかないと、ロックとか音楽もそうだと思うし、文化を継承していかないと、で、それは今に合ったカタチで継承していかないと、ダメだろうなと思う。
客:古いものばっかり着ているけど・・・
ル:なんか、感動して・・・(言葉が出ません)
客:嬉しい。
梶:こういうことですよね、着物を着て帽子をかぶるとか。こういうことをやっていかないとね。
客:異端児ですよね。怒られる、たまに。
金:誰に?怒られるの?
客:おばちゃん(笑)道行くおばあちゃんとか。
金:います?
客:います、まだ。
金:あ、そうですか。
客:優しい人もいます。昔の着物かわいく着てらっしゃるわねーって。ついてきたりとか。
客:何着てるの、これ、って怒られたり。
ル:最近は、ブランド名がロックって付いているので、みんなが不満を押しつけてくるというか・・・
客:(笑)
ル:「ロックやってくれ」みたいな。「じゃあるみさんからどうぞ」、「ええーっ」みたいな時があって。みんなが不満があるんですよ、カタチにはめなきゃいけないっていう不満があって、そこからはみでた面白いことがあるから、「やってこい」みたいな・・・
梶:カタチからはみでなきゃいけないっていう感覚も、何かおかしいというか、要は正解がないんですよね、こういうアートの世界とか、音楽にしても、どうやらなきゃいけないという決まり、数学みたいに答えが出るものではないから。でも、そういうセオリーを習ってきた人はどうしてもそれにはめたがるというか。
ル:そうなんです。
梶:それをブチ破る、じゃなくて、どうしたっていいわけじゃないですか。生き方に正解があるわけでもないし、音楽のやり方に正解があるわけでもないしね。それを自由な感覚でいろんな人がやっていけばいいんだと思うんですよ。
ル:そうですね。その人なりの全体感が、生きてる、素敵ってなればね。
金:摩擦って言ったけど、それすごくいいですね。言われたのも摩擦かもしれないし。こういう場でやらせてもらうのも、摩擦というか・・・
梶:多分人と真剣に交わっていれば、ダメだっていうことも言わなきゃいけないし、喧嘩にもなるじゃないですか。それが何かを生むんですよ。喧嘩をよくしているそこでね。
ル:喧嘩はよくしてますね。
梶:労力を惜しまなければ、いろんなつながりとか、枝別れをしていくんだと思うんですけどね。
ル:胸がいっぱいです。本当にありがとうございます。
梶:いえいえ。
ル:みなさんのほうから、せっかくですからあの、質問などありましたら・・・
客:なんかすごいやわらかい・・・固いロックだけど、ロックテイストだけど、中がすごいやわらかい感じを受けました。
梶:多分ね、やわらなくないとロック出来ないかもしれないと思うんですよね。
客:ああ、そうなんですか。
梶:人ってそれが分らないから、みんなジャンル分けしていくじゃないですか。これはハードロックだ、ヘヴィメタだ、パンクだって、多分、同じなんですよ。そこを分けて固く固くしていかないと、例えばじゃあ、ゴテゴテのロックバンドが好きだとAKBを好きになっちゃいけないんじゃないかとか思ったりするじゃないですか。そこは関係ない。人それぞれ好きなものがいっぱいあっていいわけで、そういう柔軟な方が俺は好きですけどね。多分、俺の感じなんでしょうけれど。でも、結構多いですもんね、ロックはこうじゃないといけないっていう動き方をしている人の方が多いでしょうから。
客:ああ、着物はこうじゃないといけないっていうの、一緒です。
客:多いですね。
梶:でもそれは多分、ロックというよりは意思であって、カタチではないというか、だから魚屋さんとかでも「俺の魚を食ってみてん、これ絶対美味いから」って言える人は、ロックなんだと俺は思うんですよ、魚屋だろうが。ただミュージシャンだからロックとか言いやすいだけで、いろんなジャンルの、まあサラリーマンだって自分をしっかり持って仕事している人は、俺はロックなサラリーマンだからねっていうことを言っていいんだと思うんですよね。
ル:感動してまとまらないわ、今日は特に。
客:わかる、なんかわかります。私も着物の先輩で、ようこ先生、正統派の着物を着られる方なんだけれど、なんかすごいロックなんですよ。なんか、言葉とか、優しさとか、乙さとか。なんかわかる気がするな。
梶:人に対するメッセージと、ブレない軸を持っている人が、ロックな生き方をしてるっていう人なんだと思う。それで、ブレないということは多分、ずっと転がってなきゃダメじゃないですか。そこにとどまっていたらやっぱりどうしてもブレていくというか。動けば動くほど人と摩擦するし、揉め事もあるし、お節介もしなきゃいけないし、そういう人を全般にロックという言葉を使っていいんじゃないですかね。と、思いますけどね。意外とそういう人の方が頭が柔らかかったりするもんだから。あと、アーティスティックなことをしていれば、お前に解らなくていい、っていうことが通用するから、通用してしまうからこそ、自分にストイックじゃないと、自分にダメだしを出来る人じゃないとダメなんですよ。ダメでも俺はかっこいいでしょっていうことで生きていたら、多分、野球選手もサッカー選手も使ってもらえないんですよね。いくら打てなくても、俺かっこいいから大丈夫って言っていたら、多分あっという間に使ってもらえなくなるでしょう。でも音楽とかアートとか、そういうところは自分さえそういう意識を持っていたら、いつまでも使えるんですよ。いや、君たちに解ってもらえなくていい、これが俺のアートだからって言っていれば済むんですよ。自分がこれでいいのか、そうじゃないのかっていうことをしっかり考え切らないと、生き残れないんじゃないかと思うんですけどね。
ル:ロックの師匠ということで、今日はまとめてよろしいでしょうか?
梶:はい。
ル:梶浦さん、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。・・・いやー、すごいですな。打ち合わせはないんですよ、今日も。いろいろ考えていただいて本当に良かったです。
梶:でも意外といい加減に生きているんですよ。適当に。
ル:いえいえ。なんでうちは喧嘩とか揉め事とかいろいろ多いのかなと思いつつ・・・なんか人生相談に来るんですよ、お客様かなーと思うとそうじゃなくって、小言言って帰ったりとか、染工場の兄さんと喧嘩したり、電話バーンと切ったりなんかして「またやっちゃった」って言って怒られる、みたいな。でも意外とずっと長く友達で付き合ってたりとかして。いろいろなんですね。
金:怒られるっていうか、蹴りとかね。
ル:やめなさい!(笑)
一同:梶浦さんありがとうございました!!
終わり
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梶浦さんの発言の重さと、丁寧なものづくり。
メッセージの発信の仕方、どこをとってもロックな感じで、カッコ良さこの上ない梶浦さんでした。
福岡に行かれる際は、梶浦さんのお店「Viva La Silva(ビバラシルバ)」に是非行ってみてください!
https://www.facebook.com/VivaLaSilva612
http://store.shopping.yahoo.co.jp/hslbvtx4t5uzzsyamsk52rklje/
ルミロックストア(オンラインショップ)
2014年10月11日(土)福岡Viva La Silvaにて
2014年、福岡での秋冬着物展示会の会期中に、会場を提供してくださったViva La Silvaの店主であり、ミュージシャンの梶浦雅裕さんにお話を伺いました。
梶浦さんは、この会が初対面の私たちに、とても大事なことを話してくださいました。
小雨の中、良いお客様に囲まれてとても感動的なトークイベントとなりました。

ル:梶浦さん、それじゃあ真ん中で、・・・ありがとうございます。ツーショット自体が奇跡的な..
金:信じられない!
ル:「ロック」と我々が語ってしまうには、製作物が着物なので、ロック的なとこがあるかというと、どうなんでしょう、着物界としてはあるんですけれど、一般社会としてはちょっと微妙な感じで、(笑)すみません! 梶浦さんのご紹介は、ジュエリー作家、でよろしいんでしょうか。
梶:まあ、今はそうですね、作家というつもりはないんですけれど、今までずっと音楽で仕事をしてきたので、
梶:なんか、その、昔はドラムを叩くということで表現してきたんですけれど、今回は自分の今まで見てきたものとかいうのを、カタチにする上では一緒なのかなと思って、そういう意味では楽しくやっています。
ル:じゃあそこに凝縮されている・・・意味合いとか・・・
梶:うん。作家、アーティストでどうのこうのという意識は全くないんですけれど、自分で思いついたものとか、人から「こういうものを作って欲しい」と言われたものを、探っていく中で、そういうものはどうなのかなっていう感じで模索はしますけれど。
ル:そうなんですか、じゃあ工房を構えられたのが・・・
梶:そうですね、今年の2月22日に、ここで。そこまでは間借りというか、そういうことを教えてくださったところで一緒にやっていたんですけれど、独立したのが、今年の2月22日です。
ル:デザイン設計もすごく素敵で、素材感が端的に表現されていて、細かい仕様が素敵だなと思ったんですけれども、こういうこともデザインで・・・
梶:いや、もうここでやる時は何も決めてなくて、ここで俺は自分のマークにリボンを使っていて、モチーフでよくリボンを使うので、リボン型のカウンターを作って欲しいと、それだけしか頭になかったんですよ。で、色とかコンセプトは全く決めずに、まずこれを作りながら、これがね、この茶色の棚が・・・ここをやってくださった内装の人が、先にこれを付けたんですよ。これが付いたんで、これに合わせていっただけなんですよ、全部、色とか。
ル:あ、そうなんですか!
梶:まあ、珈琲とかも出そうかなと思っていたので、ちょっと茶色っぽいイメージで・・・
ル:こちらもガラスで作業風景が見られるようになっていて・・・すごくコンパクトな、工房としては・・・
梶:いや、見れるんじゃないんですよ・・・
ル:見てはいかんのですか?
梶:見てはいけないわけじゃないですが(笑)見れるようにしたわけじゃなくて、ここで籠ってやっているとお客さんが来たのがわからないので、ここから、来たのがわかるように・・・
ル:すごい考えられていて・・・素敵ですよね、本当にここでこうやって見られるのが・・・
客:DJブースかと思った!
ル:そのイメージもね、お客様はうれしいですよね・・・あの、カタチなんですけれども、私が言うのもあれなんですけれども、愛情、っていうとあれですけれど、きわのアールがすごく手間がかかるというか・・・かわいらしく出来て・・・
梶:ああ、そうなんですよ。これを作るテーマとして、ロックっぽいものってすごく偏って・・・スカルとか、クロスとか、
ル:そうですね、
梶:そういう、すごく固定概念があるから、それで、俺は自分でもあまりしなかったんですよね、なんか、あまりにもロックっぽくなる。といってそっち側じゃない方にいくと、ティファニーみたいに、本当にかわいらしいものしかないから、なんかかわいらしいんだけれど、一瞬キラッと光るものがあるみたいなところが狙えないかなと思って、ロックっぽいんだけど、ちょっとかわいらしい、女性の人もできるようなイメージというのをテーマに作っています。
ル:重さとかについても、多分、ずいぶん調整されているのかなと思って・・・
梶:(笑)いや、そこまで考えてない・・・
ル:このボリューム感とかもかわいらしい・・・
梶:まあ、作ったものがそういう重さになっているというだけですね。そんなに・・・うん、でもまあ、ゴージャス感というのは要ると思うので・・・まあ臨機応変に作っています。
ル:そうですか。なんかその、愛情っていうかカタチの丸みがすごく・・・他のだと厚みをグンと出してカタチをこう、グラフィック的に表現するんですけど、このカーブとかの立体感がすごく・・・
梶:今はもう3Dプリンタとかあって、こういうものも写真を撮れば同じものが出来てくる時代だから、なるべく手で作って、温かさみたいなものは伝えられたらなとは思いますよね。
ル:そうですね。その辺のことが、私たちの染色の方なんて、ものすごく速く出来るようになってきていて・・・
梶:そうでしょうね。
ル:日本よりも韓国なんか行くと、もうともかく目に入るものはコピーして柄にしてプリントして物として出すということで、そこにコンテンツを込めるっていうことはあまりないんですね。
梶:うん。
ル:国によってその、自社のイメージをカタチにして出すのか、商業としてそれを量産何枚、だから一月に何柄作らなきゃいけないっていうノルマがあって、それで割って仕事していくみたいな、二つがあると思うんですけれど、やっぱり例えばイギリスみたいなところだと、ちゃんと意味を持たせたものをどうやって流布させるかという中に、制作工程というのがあって、そういう方がいいじゃないですか、自分たちで何を作るかっていうのを決めて、それを手仕事なのか何か・・・
梶:そうですね。もう世の中これだけ便利になって何でも出来る時代だから、そういうことが価値観になっていく。
ル:価値観ですね。
梶:というか、そこしか生き残っていく道はないと思うんですよね。だから飲食店でもなんでも、結局ある程度美味しいのは当たり前で、そこから後はもう人との付き合いになるというか。多分、人に返ってくると思うので、そこの辺を真剣に人と摩擦しながらやっていく人のほうが残っていくような気はしますけどね。
ル:昨日、夢に出たんですけれども、ビバラシルバのブランドロゴの、ドクロのカタチとか、このリボンのちょっとかわいい感じとか、最初からですか?ブランドを作る上で・・・徐々に完成されたのですか?
梶:いや、そうですね、これが最初に・・・俺は全く作ったことがなかったので、その方にオーダーしたんですよ。ハートにリボンが絡まっているようなものを作って欲しいと。で、それを最初に自分がつくったんですよ。工房を一か月くらい貸してもらって、で、それが最初の一発目の作品だったから、どうしても、何かにリボンがかかっているっていうイメージがずっと自分の中にあったので、それを何となく傾倒して作っていったらこういう風になったんですけれどね。
ル:真正面のドクロが多い中、ちょっと横を向いていて、風がなびいている感じ・・・
梶:うーん、ちょっと漫画チックではあると思います。リアルなものよりも・・・ちょっとアメカジとかも好きなので。
ル:怖くないっていうか。
梶:ああ、そうですね。そうかもしれないですね。
ル:ポップな感じというかね、それがすごく大事にしている感じがよく出ていて。まあちょっとこっちも(金子へうながす)反省したよね、自分ちのロゴも大事にしようって。
金:あんまりね、成り行きで・・・(笑)
ル:私たちは商業的な仕事が多くて、(彼は)工場に勤めて12年、私の方は図案を人のデザインを扱う仕事がほとんどだったんですね。それで、まあちょっと同じかどうかわからないですけれど、スタジオミュージシャン的な商業的な仕事をずっとやってきて・・・
梶:ああ、いろんな人のニーズに対応する・・・
ル:そうですね、はい。それで、ああもう、ちょっと違うといってやっていたことが、段々遊びの量が増えてきてルミロックになっていったみたいな感じなんですね。やっぱり注文なんですね、うちは。
梶:俺は割と逆ですね。こういうものばっかり作っていこうと思っていたんですけれど、やっぱりオーダー物で頼まれるのは、自分家の飼い猫の写真持って来られて、これでペンダントを作ってくださいとか、そういうことが多いので、逆にそっちを勉強するというか、意外とそういうのが多いんですよ。
ル:ああ、そうですか。
梶:だから何でも対応しなきゃいけないなっていう風な意識ではいるんですけれど。
ル:でもここで作ってもらった方が楽しいですよね。
客:おあつらえだよね。
ル:なんと贅沢な。
客:猫の指輪とか。
ル:バンド時代ってあれですけれど、東京から梶浦さんのアトリエで開催することについて、「えっ、何でルミロック行けるの?」って言われてですね、非常にみんなから「ええ、いいなあ」って言われてですね、大変な感じになっているんですけれど(笑)
梶:ここでやることについてですか?
ル:そうですよ、もう大変なことになって・・・
梶:ああ、そうですか。
ル:ちょっと怒られたりなんかしていてですね、一応ご縁だからということで勘弁してもらってます。
梶浦さんは、商業的にずっと仕事をしてこられたわけじゃないですか。今でもライブを・・・
梶:そうですね。多分、アクセサリーだけを作っていても大して売れないだろうし、知ってももらえないと思うんです。クリエイティブなことをやっていないと、動いていないと多分、人があんまり見てくれないのかなという・・・いろんなところにいろんなものがあるわけで、さっき言ったように人が出掛けたりなんかしながら、何かが生まれないと、多分これから、すごくダメな時代になると思うんですよね。
ル:ああ。
梶:多分、Amazonとかでみんなジャージを着て、同じものを買い物出来るじゃないですか。で、俺たちの時代ってやっぱりレコード屋に行くのに前の日から眠れずにいたりとか、明日は何着て行こうかなっていう、そこまで考えるのが買い物だったから、そこで、その場所に出向いた時に、喧嘩したりとか、すごい知識人のおじさんに出会ったりとか、そういうことをして、いろんな物語が生まれていくというか。そういうことがもう一回、一般的に来ないかなと、俺は思っているんですよ。だから、多分、楽なんでしょうけれど、楽じゃない買い物をしていかなきゃなっていうとこなんで、何を言おうとしたのか忘れましたけど・・・
ル:なるほどですね、たとえば、用途で買うか、心のために買うかですよね。
梶:うん。
ル:で、用途の方は、値段でソートされるわけです。
梶:ああ、でしょうね。
ル:最安値・・・(笑)わかりやすいブランドになればなるほど、安値で並んじゃうわけですね。現物を見にデパートに行って、ふーんって、その帰りに検索して、そっちで買う、みたいなことが起きるわけですね。だから、ソートされないモノづくり、みたいな、ことを考えないと。そうはいっても、よくわからないモノを作って現実化させるっていうのはすごくロスがあるというか、仕事にならないというか、予定が組めない部分があって、しかしそれを企業に売らなければいけないという、しんどい部分があるんですよね。その戦いが、日夜あるんですけれど(笑)
金:見えないところで、帳尻を合わせているんです。
ル:クリエイティビティを込めるタイプの方でも、「今回は、(満足するクオリティに)出来ている!」という感覚があると思うんですけれど、それを最初から設定して作るっていうのってすごく難しいじゃないですか。「これはクリエイティビティだ、これはどうかな?」っていう線引きとか、なんでしょうね、チームでつくりあげるものって、チームを組んだ時点で、大体出来上がっているものなんですか、音楽の方っていかがなのでしょう?
梶:だから結局、俺もまだ発展途上というか勉強している段階なので、その辺の素晴らしいずっと歴史を持っている人たちと比べられてもヤバイんですよ、俺の場合はね。だから結局俺がやっていることとか、今まで培ってきた音楽をプラス、一緒にしてもらって価値観を持ってもらうしかないと思っているんですね。だからライブをして、やっぱりそこは自分も自信を持ってやっていますんで、ライブを見てもらって、ドラミングとかバンド、プロデュースしたものを見てもらって、その感動をこれに注ぎ込んでもらって、じゃあ買おうかなっていう。だから指輪を持っていると俺のライブしている感じが思い出せるというか、そういう、・・・洗脳ですかね。(笑)
ル:着物仲間も、元バンドとか、音楽系の思考の人、割と私たちの周りにはいるんですよね。
客:私もやってました。
客:バンドブーム時代だからですかね。
ル:イカ天的な・・・
客:ああー。イカ天。わかる。
ル:私も、打ち込みしてもらってカラオケ的なバンドのユニットだったんですよ。
客:へえー。
ル:イカ天系ですから(笑)たま、みたいな、不思議系・・・
客:たま!(笑)
ル:(笑)だから、ちょっとオタク系っていうか、こういうワイルドにちゃんと人間性をぶつけだして、ぎゅっとしたバンドの人に憧れてるんですよ。
客:(笑)
ル:憧れて、いいなあっていう、そういう・・・今では見に行くだけなんですけれども、金子さん、なんか新潟から出て来て、音楽どうですか?
客:(笑)そっからなんだ
金:いや、あのー、歌の活動の時って、ライブに向けてガッと出すと思うんですけれど、制作している時はガッと出すというよりは地道にトントントントンとやっていると思うんですけれど・・・
梶:どっちもそうなんですけれど、集中するまで、ですよね。集中したらもう抜けられないくらい集中するんですけれど、そこに入っていくまでの、・・・もう一瞬にして入る時と、もういつまで経っても入れない時と、あるんですよね。まあそこは人間がやることだからどうしようもない時は、もうあんまり根を詰めないで待つ、というか、ハマるのを待っていますね。ライブは昔はいろんなことを組み立ててやっていたけれど、今は固定メンバーもいないし、その時々に「この人面白いな」と思った人を声掛けて集めて、そこで何が生れるかを実験的にやっているだけなので、プロもアマチュアも含めて「この人面白いな」と思ったら、あまりリハもせずにライブの時でお互いに勝負するっていうか・・・もう一晩で消えるバンドなんで、ワンナイツというのは。それでワンナイツって言うんですよ。
客:なるほどね。
ル:すみません、今度来ましょう。
梶:だから、ご存知かどうか知らないですけれど、ミッシェル・ガン・エレファントの千葉君とか、石橋凌さんとか、そういう人たちと、あんまりリハも重ねずに、決めごとをなくして、どう転ぶか分らない状態で、ほぼ一日、やるかやらないかです、リハを。
ル:へえー。
梶:昔、ミュージシャンってそうだったんですよね、とてもじゃないけど出来ないことを出来る人たちの集団だったから、今みたいに身近に誰でもギターを弾けたりとかいう時代じゃなかったので、ものすごくプロフェッショナルな人が多かったので、その辺で、一瞬にして勝負する緊張感みたいなのが、お客さんもぐっとくるんじゃないかなっていう。それこそ生の醍醐味というか。ミュージシャンも多分、生で演奏出来る人だけが今から残っていくでしょうし・・・
ル:そうですか。
梶:職人ですよ。だから着物にしてもそうでしょう?結局。伝統というか、あんまりにも伝統だけを意識するからどうしても廃れていくというか・・・
ル:はい。そうです。
金:着物業界に届けたいよね。
ル:そういうことです。そうです。
梶:日本的だとか、そういうことばかりを固執していると、多分こういうことになると思うんですね。だから新しいものとコラボして、いかに素晴らしいものを作るかという。
ル:涙が出そうです。
梶:今の時代のニーズに、こう教えていかないと、ロックとか音楽もそうだと思うし、文化を継承していかないと、で、それは今に合ったカタチで継承していかないと、ダメだろうなと思う。
客:古いものばっかり着ているけど・・・
ル:なんか、感動して・・・(言葉が出ません)
客:嬉しい。
梶:こういうことですよね、着物を着て帽子をかぶるとか。こういうことをやっていかないとね。
客:異端児ですよね。怒られる、たまに。
金:誰に?怒られるの?
客:おばちゃん(笑)道行くおばあちゃんとか。
金:います?
客:います、まだ。
金:あ、そうですか。
客:優しい人もいます。昔の着物かわいく着てらっしゃるわねーって。ついてきたりとか。
客:何着てるの、これ、って怒られたり。
ル:最近は、ブランド名がロックって付いているので、みんなが不満を押しつけてくるというか・・・
客:(笑)
ル:「ロックやってくれ」みたいな。「じゃあるみさんからどうぞ」、「ええーっ」みたいな時があって。みんなが不満があるんですよ、カタチにはめなきゃいけないっていう不満があって、そこからはみでた面白いことがあるから、「やってこい」みたいな・・・
梶:カタチからはみでなきゃいけないっていう感覚も、何かおかしいというか、要は正解がないんですよね、こういうアートの世界とか、音楽にしても、どうやらなきゃいけないという決まり、数学みたいに答えが出るものではないから。でも、そういうセオリーを習ってきた人はどうしてもそれにはめたがるというか。
ル:そうなんです。
梶:それをブチ破る、じゃなくて、どうしたっていいわけじゃないですか。生き方に正解があるわけでもないし、音楽のやり方に正解があるわけでもないしね。それを自由な感覚でいろんな人がやっていけばいいんだと思うんですよ。
ル:そうですね。その人なりの全体感が、生きてる、素敵ってなればね。
金:摩擦って言ったけど、それすごくいいですね。言われたのも摩擦かもしれないし。こういう場でやらせてもらうのも、摩擦というか・・・
梶:多分人と真剣に交わっていれば、ダメだっていうことも言わなきゃいけないし、喧嘩にもなるじゃないですか。それが何かを生むんですよ。喧嘩をよくしているそこでね。
ル:喧嘩はよくしてますね。
梶:労力を惜しまなければ、いろんなつながりとか、枝別れをしていくんだと思うんですけどね。
ル:胸がいっぱいです。本当にありがとうございます。
梶:いえいえ。
ル:みなさんのほうから、せっかくですからあの、質問などありましたら・・・
客:なんかすごいやわらかい・・・固いロックだけど、ロックテイストだけど、中がすごいやわらかい感じを受けました。
梶:多分ね、やわらなくないとロック出来ないかもしれないと思うんですよね。
客:ああ、そうなんですか。
梶:人ってそれが分らないから、みんなジャンル分けしていくじゃないですか。これはハードロックだ、ヘヴィメタだ、パンクだって、多分、同じなんですよ。そこを分けて固く固くしていかないと、例えばじゃあ、ゴテゴテのロックバンドが好きだとAKBを好きになっちゃいけないんじゃないかとか思ったりするじゃないですか。そこは関係ない。人それぞれ好きなものがいっぱいあっていいわけで、そういう柔軟な方が俺は好きですけどね。多分、俺の感じなんでしょうけれど。でも、結構多いですもんね、ロックはこうじゃないといけないっていう動き方をしている人の方が多いでしょうから。
客:ああ、着物はこうじゃないといけないっていうの、一緒です。
客:多いですね。
梶:でもそれは多分、ロックというよりは意思であって、カタチではないというか、だから魚屋さんとかでも「俺の魚を食ってみてん、これ絶対美味いから」って言える人は、ロックなんだと俺は思うんですよ、魚屋だろうが。ただミュージシャンだからロックとか言いやすいだけで、いろんなジャンルの、まあサラリーマンだって自分をしっかり持って仕事している人は、俺はロックなサラリーマンだからねっていうことを言っていいんだと思うんですよね。
ル:感動してまとまらないわ、今日は特に。
客:わかる、なんかわかります。私も着物の先輩で、ようこ先生、正統派の着物を着られる方なんだけれど、なんかすごいロックなんですよ。なんか、言葉とか、優しさとか、乙さとか。なんかわかる気がするな。
梶:人に対するメッセージと、ブレない軸を持っている人が、ロックな生き方をしてるっていう人なんだと思う。それで、ブレないということは多分、ずっと転がってなきゃダメじゃないですか。そこにとどまっていたらやっぱりどうしてもブレていくというか。動けば動くほど人と摩擦するし、揉め事もあるし、お節介もしなきゃいけないし、そういう人を全般にロックという言葉を使っていいんじゃないですかね。と、思いますけどね。意外とそういう人の方が頭が柔らかかったりするもんだから。あと、アーティスティックなことをしていれば、お前に解らなくていい、っていうことが通用するから、通用してしまうからこそ、自分にストイックじゃないと、自分にダメだしを出来る人じゃないとダメなんですよ。ダメでも俺はかっこいいでしょっていうことで生きていたら、多分、野球選手もサッカー選手も使ってもらえないんですよね。いくら打てなくても、俺かっこいいから大丈夫って言っていたら、多分あっという間に使ってもらえなくなるでしょう。でも音楽とかアートとか、そういうところは自分さえそういう意識を持っていたら、いつまでも使えるんですよ。いや、君たちに解ってもらえなくていい、これが俺のアートだからって言っていれば済むんですよ。自分がこれでいいのか、そうじゃないのかっていうことをしっかり考え切らないと、生き残れないんじゃないかと思うんですけどね。
ル:ロックの師匠ということで、今日はまとめてよろしいでしょうか?
梶:はい。
ル:梶浦さん、どうもありがとうございました。今後ともよろしくお願いします。・・・いやー、すごいですな。打ち合わせはないんですよ、今日も。いろいろ考えていただいて本当に良かったです。
梶:でも意外といい加減に生きているんですよ。適当に。
ル:いえいえ。なんでうちは喧嘩とか揉め事とかいろいろ多いのかなと思いつつ・・・なんか人生相談に来るんですよ、お客様かなーと思うとそうじゃなくって、小言言って帰ったりとか、染工場の兄さんと喧嘩したり、電話バーンと切ったりなんかして「またやっちゃった」って言って怒られる、みたいな。でも意外とずっと長く友達で付き合ってたりとかして。いろいろなんですね。
金:怒られるっていうか、蹴りとかね。
ル:やめなさい!(笑)
一同:梶浦さんありがとうございました!!
終わり
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梶浦さんの発言の重さと、丁寧なものづくり。
メッセージの発信の仕方、どこをとってもロックな感じで、カッコ良さこの上ない梶浦さんでした。
福岡に行かれる際は、梶浦さんのお店「Viva La Silva(ビバラシルバ)」に是非行ってみてください!
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